傷つける事が武器の強さではないという事

岩上 喜実

仕事とは戦いでありながら自分の生きる位置が見え安心する場所でもあります。家から一歩出れば社会は敵だらけという人も居ますし、家に帰ってからが戦いだという方も居ます。きっと人生は戦いの日々なんですよね。
私は仕事に対しては割とドライな方だと思います。特に飲食店をしてからは色々な人に助けられましたが、それ以上の人に裏切られた事もあるのをキッカケに過度に期待しないようになりました。そういったこともあり、たまに想像以上の仕事をするスタッフには手放しで褒めて喜びます。…この話はまた今度にすることにして、戦いにできれば勝ち進んで行くには自分の武器が必要だと感じ、使える武器を増やし、すぐ使えるように蓄えておこうと思いました。

例えば使える武器とは、『自分にしかできない』『この分野と言えば私』という『自分』で勝負できる事柄です。私の場合は

イラストレーターとして書籍を出版し、現役で教室をし、見たことのあるイラストを描いている。そして飲食店経営しながらイラストレーターをしている。何故かあまりメディアに出ていない。

というのが武器になります。なぜ武器になるかというと、自分以外にあまりいないからです。珍しい職業とはいえ、私より遙かに上手でセンスのあるイラストを描く方は地元にも沢山居ます。もう少しセンスの良いアンダーグラウンドでも活躍するイラストレーターになりたいとも思いましたが、今更作風を変えるわけにもいかず提携している企業様のイメージにも繋がるので迷惑もかけられません。…ですが私にしか描けないイメージやイラストがあるという最強の武器を持っているので、この武器が錆びないよう、いつでも戦えるよう日々磨いて居るような気がします。そして、私にはまだまだ向かう方向があるので、それをやりやすくする為に今の仕事を最大限に戦いきりたいと思っています。

いま、良い仕事が無くてという方には何故自分からアイデアを進めていく自信がないのに『仕事が無くて』と言えるのでしょう?

自分にはこんなに魅力があるのにという方には何故声がかかるまで受け身でいられるのでしょう?

自分の魅力という武器は他人には分からないことばかりで、それを魅せる事によって武器が少しづつ輝いてくることもあります。

例えばSNSで○○さんとお食事などという投稿で、○○さんが有名な方だったりしたら「この人はもしかしたらすごい人脈があるのではないか」という武器になります。ですがそれはキッカケに過ぎず、○○さんがすごいだけなのです。武器が曇らぬ内に何か動ける瞬発力を蓄えておくのも大切ですよね。

自分の魅力を知り、魅せ方を考え、チャンスの時に俊敏に動ける。どんな仕事でも自分にしか無い魅力は必ずあると思います。
人見知りで話すのは苦手だけど、仕事の話なら誰よりも詳しく話せる。苦手な機械があるけど、絶対に上手くなりたい。部下に注意するのが苦手だけど、褒めるのは得意だ。

それに少しでも気付いた時かけがえのない武器になり、‪明日‬からの戦いがきっと楽しくなってくると思います。

苦しい戦いが多いけれど、自分の居場所が分かる仕事。自分の居場所を作るのがこんなに大変で楽しいものだとは、と思えるのは幸運だったのかもしれません。
そして私は敢えてイラストレーターともう一つ平行して飲食店という仕事をすることにしたのは5年と少し前。自ら戦いを増やしてしまったのですが、それはまた次回に。

 

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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