相手の笑顔を想像して

岩上 喜実

想像力を膨らませて人と接していますか? 

人と話している時に、その人の前後背景を考えながら話してみると会話に深みや優しさが加わってより良いコミュニケーションが作れるような気がします。

最初は想像力を膨らませるというと難しく聞こえますが、例えば今目の前で話しているこの人はこの後どんな用事があるんだろう、私と会う前に大変な仕事を終えてきたのかもしれない、少し顔色が悪いように見えるけど何処か座って話した方がいいかも…、たまに冗談を言っているので盛り上がるように優しく突っ込んでみよう、質問を沢山してくれるので今日は質問をこちらからもしてみよう。など会話をしている相手をよく観察し、この時間を大切にしたいという気持ちで接していると会話する環境を親切な場にしたいと思えるはずです。そして相手に親切な場所を故意に作ることで自分自身が親切な存在であると印象付けることができると、仕事相手だとした次の仕事がやりやすくなったり、友人関係だとお互いにとって優しい関係になる近道になるのです。

 

では想像力を膨らませていつでも使える言葉をストックしてみましょう。

いつも楽しい発言をしてくれ場を気遣ってくれる明るい方には「いつもありがとうございます、お会いする度に元気になります!」とあなたのおかげで会話していると楽しい気分になることを伝えます。私は以前いつも明るく場の雰囲気を壊さないようにし、逆に暗い雰囲気だったら無理矢理明るい雰囲気にしようと無理をしていた時期があり少し疲れたときもありました。ですが丁度そんな時「いつもありがとう、会うと元気になる」と声をかけてくれた人がいてとても救われたのを覚えています。

いくら毎回明るくてもずっと明るいだけの人はいる訳もなく、どっと疲れていてもいつも明るいキャラクターで通っているから明るくしなければいけないという自己暗示にかかっている人もいます。そんな人に対し、感謝の気持ちと元気になるという正直な思いを伝えることでお互いが親切な環境に近づくのです。

 

普段あまり意見をしない部下が積極的に意見を言ってくれた時は「以前はそんな発言しなかったのに、前向きな意見を言ってくれて嬉しい!」という事を伝えます。「前向きな意見を言ってくれて嬉しい」だけでも伝わるのですが褒めて伸ばすとは違い、以前は出来なかったことが着実に出来ている、という本人も意識していないステップアップを自然に伝えることが出来ます。

逆にいつもは沢山発言をしてくれるのに、あまり発言をしなかった部下には「発言ってタイミングが難しいよね、また何か思いついたらいつでも言ってね。」と今の時点まで考えてくれたことを感謝しながら何かキッカケがあったらその時はいつでも聞くからね、といった様に極度に励ましすぎず、何か会ったときにいつでも頼ってもらえるように小さな架け橋を作っておくことが上司の大切な役割だと思っています。部下にはきちんと考える余地を作り困ったときの駆け込み場として自分を利用してね、と伝えることが大切なのだと思っています。

 

そして大切な家族には家の中は何処よりも安全で自分が一番リラックス出来る場所であることを伝えるのが生活する上での親切な存在だと思っています。放任主義だから放っておく事ではなく、先ほどの悩んでいた部下と同じように「何か合ったら私が守る」という気持ちで接すること、同じ屋根の下で暮らしている相手でも一人一人の気持ちを尊重しつつ感謝することが大切ですよね。人とのつきあいで一番大切であり基本的な「自分がされて嫌なことはしない」という想像力を膨らませる事をお互いが守り、そして笑顔で日々を紡いでいく、それがきっと自分自身も親切な存在でいたいと思う原動力かもしれません。

 

人に親切にされたければ、親切にし、何をしたら相手が笑顔になるか想像力を膨らませる事、それが人間関係でとても大切な事だと思います。

 

想像力なんて湧かない、という人はまず自分自身の一言日記をつけてみてはいかがでしょうか?日記なんて面倒くさい!と思われるかもしれませんが、一言だけの日記なら自分が本当に感じた一つのことを書こうとして一日を振り返るようになります。その振り返りこそが想像力の原点になるので、「友達とランチして楽しかった」という一言日記では「何が楽しくて」「何が印象に残ったのか」「次は何を一緒にしたいのか」「何を話して笑ったのか」など前後の想像力が色々膨らんでくるのです。意味のない行動はありませんから、まずは是非自分の事で想像力を膨らましてみて下さいね。ひとつの行動に10の意味が見えてきたら、それは想像力が豊かになってきている証拠なのだと思います。

 

そしてその想像力を働かせる為には、モチベーションを高く持つことが大切になってきます。その私なりのモチベーションの保ち方とは、それはまた次回に。

 

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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