人で傷付き人で癒され

岩上 喜実

あなたは人間関係をよくしたいと思っていますか?

人間関係をテーマにして全12回このエッセイをまとめてみましたが、毎回文頭のように質問で始まっていたのにお気づきの方がいらっしゃったら嬉しく思います。私自身もですが今の環境が最良と思うことはとても良いことなのですが、たまに自分自身に質問してみることにしています。今までの質問は

マイフレーズを持っていますか?

何をしたら人に好かれるんだろう、と思ったことはありませんか?

自分の弱点をすぐに挙げることはできますか?

あなたは、ずっとあなたのままでいいなんて思っていませんか?

心のドアの開け方を知っていますか?

焦ってしまうとついやってしまう仕草はありませんか?

どう言ったら正解なんだろう、と思ったことはありませんか?

想像力を膨らまして人と接していますか?

いつもモチベーションを高く持っていたい、と思っていませんか?

睡眠時間を削ってまで仕事をこなすことを格好良いと思ってはいませんか?

大切な人に贈り物を贈る習慣がありますか?

そして今回の人間関係をよくしたいと思っていますか?の12点で、これらは私が約20年の仕事を通じて感じた人間関係で自分自身に質問した項目なのです。

仕事をされている方は、どうも相性が合わない上司がいたり、話の方向がつかめない部下がいたり、要領の悪い同僚がいたりとことごとく悪い面ばかりを見てしまい期待を裏切られる事に腹が立ち、上手くいっている仕事でさえあまり満足できない、という方もおられると思います。私にも同じような日々があり仕事以外でも、学生の時は毎日くだらないことで笑って、知識の少なさも笑いに替えていたのに社会に出た途端知識の少なさは常識がないということに代わり、学生の時は考えなくても良かった保険や年金に加え周りの結婚や子どもの誕生で生活環境が変わった友人とは仕事の話が合うわけでもなく、少しずつ悪意無く距離を置くようになっていったのです。

そんな時、仕事で色々上手くいっていた私はふと家族や恋人以外に心をさらけ出して話せる相手がいないという事に気づきました。まだ20代なかばで休日はイラストの仕事をし、たまに恋人の連絡も無視し、家族とも特に話をせず過ごしていたので原稿料や印税、書店員でのお給料で通帳の数は増えていくのに心はなんだかぽっかりと無の感情に近い物がありました。そこで売上げや収益などの数字ばかり見るのではなくきちんと人と視線を合わせ対話をしていくと、一人で頑張ってきたつもりでいた私には大勢の支えてくれる人が多いことに気づいたのです。仕事の上司や同僚も、私には私の得意な部分の仕事を渡し他の部分は残業して進めていてくれたり、家族は私の体調を考え御飯を用意してくれていたり、友人は時間がなかったその時の私を考慮して遊びの約束も負担にならないようサラッと簡潔にしてくれていたり…自分だけ頑張っていると思っていた私は周りの人達の深い優しさに気付かなかったのです。

それからは少しずつ生活バランスを考えるようになり休日はしっかり休み、仕事は周りに感謝しながら助け合い、家族とも沢山色んな場所に行ったり御飯を笑いながら食べ、友人とも時間が合えば顔を出し弱音を言って励まして貰うことが増えました。

人間関係とは、当たり前のことですが人がいなくては成り立たない関係なのです。いくら一人で出来る仕事をしていても、何かしら他人は関わってくるものなのです。たまに殴りたくなるような人もいますが、大体そういう人は他の人も殴りたくなる人であって私だけが苦しんでいる訳ではないのですよね。自分ばっかり、とは思わずもっと沢山の色んな状況の方の気持ちを少しでも理解し、発言が偏らないよう注意しなくてはいけないのが今の私の課題です。そして感謝の気持ちと都度反省する気持ち、まだまだ課題が沢山あるのがとても楽しみでもあります。

少しでも人間関係に悩んでいる方の解決の糸口になったり、気持ちが軽くなればいいなと思いながら人間関係についてまとめてみました。面白い場所からも反響があり、私自身も楽しくまとめることが出来ました。読んで下さってありがとうございました!

何か悩んだら、何かの助けになるような文章を書けるようになりたいと改めて思いました。

次回は以前書いていた「乳がん治療」のその後の状況をまとめてみました。

乳がん治療中の私に普段話さないような方々から沢山励ましのお言葉を頂く現在です。同じ悩みを持つ方に対してになってしまうかもしれませんが、読んで頂けると嬉しいです。

よい日曜日をお過ごし下さいね。

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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