いくら貰えれば働けるかではなく、いくら貰えるように働くか。

岩上 喜実

時給800円とか月の手取りがいくらとか決まっている職業ではないので、一体いくらもらっているのですか?という質問を多く頂きます。お給料を聞くなんて結構すごいな、と思いつつイラストレーターのお給料はどんな仕組みなのか分からない人の方が多いかもと思い、ある程度話せるところは話しています。 

まず原稿料ですが、1カットいくらという換算方式とこの仕事丸々全部でいくらという方式があります。名前がさほど売れていない時や実績が少ない時は1カット方式が多く何カットか提出してその中の1カットを買って頂くというのが多かったので一つの仕事で2,000円の時もあれば沢山描いて50,000円の時もあり、まさに『水商売』でした。

仕事丸々式に切り替わったのは、書籍の挿絵の仕事が増えた頃に「このイラストレーターは統一したカットが描ける」と出版社やデザイナーの方に思って頂けてから依頼が多くなりました。やはり1カットだけうまく描くことができるのも大切だけれど、トータルで統一したイラストを描ける人を求める業者の方が多いので私のイラストでお金を頂くなら仕事丸々式がやりやすかったです。


最初の頃に私はこの金額に見合ったお仕事が出来ていたのだろうか?と思うぐらい思いの外金額設定が高い時や、これだけ描いたのにこの金額設定だったのか…と戸惑うときももちろんありました。

ですがそれは最初の段階で担当者の方に怖くて金額を聞けなかった私の自信の無さの表れだったので、今から始める方は最初に報酬金額を聞き、依頼を頂いたという自分に自信を持って描いたらきっと仕事への意識が高まるのではと思っています。自信がありすぎて自分を高めに設定するのも、自信が無さすぎて低めに設定するのも、どちらも仕事を続けるには怖いことですが。
詳しい金額はというと、今の段階での私はA4サイズのイラストエッセイ構成込みで大体数万円程の設定になっています。キャラクターデザインや、企業用のイラストはその企業様が出して下さった提示金額で今は満足しています。

書籍のいわゆる『印税』や電子書籍や電子図書館の『売上』、海外出版の『原稿料』などがこちらに加算されまさに良いときもあれば、いまいちな時もある、という商売です。

仕事として続けて行くにはとても大切なお金の話、やはり安定を求めるには向いていないお仕事だとは思いますがその分自分の力量が分かりやすいお仕事だとも思います。不安定で怖いですが、まだまだ自分の力量を増やすべく挑戦をしていこうと思っています。

そんな思いをして頂いたお金の使い道ですが、20代の時はなるべく自分の力になるものを購入し蓄えてきました。

それはまた、次回に。

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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