①本棚の整理は心の隙間を産む

岩上 喜実

どんなにハードな毎日が続いたとしても、いつも笑顔でいたいというのが自分の中でのルールの原点としてあるので、仕事として人と関わっていたり生活していく上での最低限の事は周りの人を不安にさせる空気感にしないという事を重要視していて守っているところがあります。

何か気に入らないことがあるとして、不機嫌になり周りの人に気を遣わせてしまうのは大人の女性として少し格好が悪い気もしますし何より不機嫌から平常になりたい時の道のりが長くて面倒な気がするのです。表情筋も怒ったままの顔をしていると老けるのが早くなる気がしますし、何より心身共に疲労感が中々回復せず疲れてしまうのです。

そういった理由で笑顔のルールを作っている私ですが、それでも仕事や日々の疲れからなのか普段何とも思わない出来事にカチンときてしまったりするとそれが不格好に積み重なっていきその角が心の内側からチクリチクリと刺してくるようでそれがまた不快の種になってしまうことがあるのです。

そんな自らが生み出して形に変えてしまったストレスから、いかに笑顔のスイッチに切り替える方法をまとめておこうと思いました。

まず1つ目は『自分の本棚の整理をする事』。

我が家には壁中に本棚が作り付けてあり、リビングには普段読む雑誌やムック本、書籍やエッセイを配置し2階の部屋には雑誌のバックナンバーと漫画を置いています。夫婦で書店好きなのと以前私自身が書店に勤めていた事もあり気になった本は保留にせず、すぐに購入する事が暗黙のルールとなっているのです。今はとても便利なのでネットでももちろん買えますし、コンビニでも販売している本も増えてきましたが書店で選びながら購入するのがとても好きな時間なのです。

その思いのまま購入してしまった本達は我が家でもちろん積み重なっていくのですが、日々が慌ただしく過ぎていくと心の中のように本棚がどんどんと荒れてきてしまうのです。それを眺めながら朝出勤するのはとても苦痛ですし、くたくたに疲れて帰った目に入ってくるのもとても苦痛なものなのです。整理をするだけの事がいかに心の余裕を作っているかが分かる視覚的バロメーターにもなっているのですがただ整理するだけではなく、中身を確認しながら仕事に使えそうな物はメモを取りながら読みたいので机の上に、雑誌の写真はポーズを真似たイラストを描きたいので右横に、など購入した本を分類分けし、その中からまた大きさや発行日別に分けるとなるとただ整理するだけではないのでどんどん頭を使ってしまい結局ずるずると整理するのが延びていってしまうのです。

そういった理由から日常が忙殺されている時は荒れている本棚を見るのが本当に嫌になってしまい、本棚を整理すること自体が大切な気分の切り替えスイッチなんだと気付かされたのです。

それが服の好きな人はクローゼットの整理かもしれませんし、料理の好きな方はキッチンの棚や冷蔵庫の整理かもしれません。自分の好きなスペースの整理をすみずみまでじっくり時間をかけて普段出来ないところまで整理を行うこと自体が、もしかしたらとても贅沢な心の掃除なのかもしれませんね。

そして整理が出来た本棚を眺めていると、読んでなかったあの本をちゃんと目を通しておこう、購入したときはそれほど重要じゃ無かったけれど今の私には必要な本だった、など新しい隙間が見えてきてそこに新鮮な知識や情報を入れていくのが切り替えスイッチとしてとても重要なんだと思えるのです。

大掃除ほどではなくても、気の向くままに整理するのはとても気持ちが良いことなんです。

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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