面倒くさい女の邦画、3選
面倒くさい女が出ている映画ほど面白かったりします。
何かに依存する女や妄想癖のある女、うるさい女やしたたかな女、感情のままに動く女や自分では割といい女だと思っている女など私も含め色々な厄介な女は周りに沢山います。ですがきっと全ての女は幸せになりたいだけなのに、その方法や向かう方向が少しだけ違ったり先走ったり遅かったりするだけで身の回りでは映画のようなストーリーで溢れているような気がします。
「愛がなんだ」(2019)主演:岸井ゆきの 成田凌
何年か前に読んだ小説の映画化で、正直内容も少し忘れていた一冊だったのにも関わらず主演の二人の配役が私なりにベストだったのでどうしても観たくなり、近くの映画館では上映していなかったので高速バスに乗りこの映画を観てきました。
ひょろひょろした猫背の男に恋をした主人公の女は、仕事中にも好きな男の事ばかり考え会社の電話には出ないくせにその男からの電話にはシャワー中だろうが秒速で取るほどのめり込んでいく、その感じが懐かしくて恥ずかしくて痛々しくて、そして可愛い女を演じているのが最近気になる映画には必ず出ている岸井ゆきのさんと、身体の関係はあるけれど第三者から見ればしっかり線を引いているろくでもないようだけれど彼なりの筋があるような、ないような、そんな雰囲気がぴったりな成田凌さん、そして数少ない登場人物達が「好き」という一言が言えなくて、ただその言葉が好きな人から欲しくて欲しくて欲しくて間違ってしまう、そんなあの頃のはがゆさが一杯の作品でした。
何となく参加した飲み会の居心地の悪さや、好きな人との別れ際に言い出せないながらも手招きされて思わず嬉しい感情がはみ出してしまう所など、こんな時期合ったな…と思いながらも、みんな「幸せになりたいっすね」と願っているんですよね。
「寝ても覚めても」(2018)主演:東出昌大
学生時代に付き合っていた男性がフラリと消えてしまい数年後その彼にそっくりな男性に出会ってしまうという、まあまあ、ありがちなような奇跡のような内容ですが全体的にどんよりしている空気と出ている人達の声量感がフランス映画のような雰囲気で、ジワリ、ジワリと主人公のリアリティさがくっきりしてくるような作品です。
私には分かりませんがフラリと消えてしまう男性も現実にいますし、そういった男性に惹かれる女性もいますし、そういった女性に恋してしまう男性もいます。消えてしまう男と恋する男の一人二役を演じた東出さんはドラマなどで可愛らしい感じもあれば独特な不気味さを持った怖さもあるので、とてもすんなり二役を演じていましたし主人公の女性の普通っぽさやお友達の距離感もまるで非現実的な話ではなく、友達の、友達の話といったありそうで無さそうな、でもありそうなストーリーでした。
ただ、震災の事に触れていたり、学生の時の友人がある日言葉が話せなくなる障害になってしまうという描き方は、とても素直に会いたい時に会わなくてはいけないし、言える時に想いは伝えられる事が大切なのだと思える描き方でした。
主人公には全く共感は出来ませんが、つい同じような男性を好きになってしまうのは顔や雰囲気が好きなのか、それともたまたまなのか自分で分かっていないこういう女性もいる、と深く頷ける映画です。
「生きてるだけで、愛。」(2018)主演:趣里 菅田将暉
息をしているだけで、起きて仕事に行くだけで、人と話すだけで、夕飯の買い物行くだけで、生きているだけで死にたくなるほどの苦痛を感じる過眠症の鬱病を患う感情のコントロールが自身でしにくい女性と付き合うことになった、週刊誌記者の男性とのストーリーです。まず近くにこんな女性がいたらどうしたらいいのか分からないですし、他人の感情の波が読めず仕事で疲労困憊の彼への労り方も感情をぶつけて上手くいかず「わたしが」「わたしが」と自分中心になってしまう所は観ている私でさえ何とか出来ないかと不安になります。
ですが本人が一番何とかしたいと思っていてバイトに遅れたくないのに寝坊してしまう、最初は頑張るけれどそれも続かない、優しい人達がいるのにちょっとしたことでやっぱり無理だと思ってしまう…と悪い思いの流れが一気に降りかかり逃げ出すしか道がないと思い込んでしまう演技がもどかしくて悲しい気持ちになってしまいます。
そんなコントロール不可の女性の側に居た男性も、自分の仕事に疑問点を持ちつつ勤務時間に押しつぶされ、最後には本当にぺしゃんこになってしまうという二人が落ちに落ちたところでエンドが流れる明るい気持ちにはなりませんが、そんな中で分かり合えたのは一瞬だけど、その一瞬を支えに一緒にいる儚さが後に残る映画でした。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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