こんにちは、今回はいつものように自分の仕事への向き合い方を綴るのではなく、飲食店を経営していて毎日をパタパタと通り過ぎていくと忘れがちな飲食店を続けたいという気持ちを思い出させてくれるテレビドラマや映画、本を紹介したいなと思っています。忘れたくない気持ちというのは、

お客様に日常の少しだけトクベツ感をカフェで味わって貰いたい、そして少しだけ笑顔で帰って頂きたいという思い。雑務に追われていると自分の生活重視になり頭から抜けていくのです。危ない、危ない。

まずは飲食店のドタバタドラマといえば定番の『王様のレストラン』（95）です。放送当時大好きだったこのドラマですが、飲食店を始めてから改めて観直すと厨房で煙草は吸っているしお客様の陰口言いたい放題だけれど、徐々に固まる仕事への取り組みと向上心がとても気持ちよく描かれていて、スタッフの向上心を作るのは上に立つ人物でありお客様の「美味しい、楽しい」の一言だなと思います。観直して以来、お客様の顔が見づらい厨房には「お客様がこう言っていたよ」と教え生身の人間と仕事をしている事を伝えようと心がけました。

そして近年の飲食店ドタバタドラマといえば『問題のあるレストラン』（15）。王様のレストランとは違い、一から作り上げていき段々と知名度が上がっていった矢先閉店に追い込まれる…というありがちな内容ですが一人一人のお店への愛情が最終回に向かって深くなっていくところに私はずっと泣いていました。最初から思いが深いスタッフなんていないんです。オーナーが一人で盛り上がっているように見えますがその奮闘する姿やお客様への思いが大きくなり、スタッフが自分なりのやり方で頑張っていく姿がとても可愛らしいのです。スタッフによって店長は作られていくのをとても感じたドラマでした。

最後のドラマは『パンとスープとネコ日和』（13）です。女子が憧れ、女子が目指すカフェの形だと思いますが、その空間は知らず知らず来る人を際限していることにオーナーは気付くのです。毎日悩みですが毎日は流れ、一朝一夕では作ることの出来ない特別なお店を創るというのは静かな覚悟と人には見せてはいけない忍耐力がいるのだなと思わせてくれました。

次は映画ですが『エル・ブリの秘密』や『ディナー・ラッシュ』ましてや『星降る夜のリストランテ』『マーサの幸せレシピ』『ソウル・キッチン』を観るわけではなく…（面白い映画なので観ていますが、忘れたくない気持ちを思い出させる映画ではないのです）ドラマとは違って映画は約‪2時‬間。その間に感じるのは「食事という行為は状況や人によってこんなに気持ちが癒やされ心がふっと軽くなる行為なんだ」ということ。

『ジュリー＆ジュリア』（09）は何もかもうまくいかない日があっても、家に帰って美味しい料理を家族のために作ったり、食べることが本当に幸せだと思える毎日がいいなと感じる映画でした。その役目が私のカフェであって欲しいと希望も込めながら、食事がもたらす素敵な時間の大切さというのを思い出させてくれるのです。そして、頑張り続けることはとても楽しいということが伝わります。

日本の映画だと沢山名作はありますが、お客様を迎える気持ちと日々の積み重ねを静かに描いた『しあわせのパン』（12）という作品、派手さはありませんがカフェを始めて本当に心底疲れていた時に観て風景にもホッとしましたが主人公達の坦々とした毎日に「派手さなんてカフェには必要ないんだ、ゆっくり毎日を紡いでいくものなんだ」と思わせてくれた作品でした。

次は本ですが…

ドラマと映画が長すぎたので本はまたの機会にお伝えしますね。

毎日が何か抜けていくような気がするので、合間に映画やテレビを観たり本を読むことが私の心の栄養吸収になっています。

そして栄養満点な毎日を送っているのですが、お客様には満点の気持ちでサービスをしないように心がけています。「手を抜け、ということ？」と勘違いされそうですが、そうではなく「丁度良いサービス」を目標としています。

それはまた、次回に。