ご褒美の日々

岩上 喜実

わたしにとってのご褒美とは。というお題を頂いて文章を書いているのですが、思い出すのは小さい頃おばあちゃんのお買い物についていき、『もりや』という商店でアイスのピノやコロンを買って貰ったこと。小学生になったら『やよいデパートのサンリオショップ モコ』で可愛らしい形の消しゴムやにおい玉をお小遣いで買って家で眺めていたこと。

中学生になれば読みたい本が沢山あって、週末に家族で書店に行きひとり1冊、と言われ真剣に悩んで買って貰ったこと。

高校生や専門学生になると自分で買える物が増え、ご褒美という言葉自体あまり意識しない時代に突入していました。

自分でほとんどの物が買えるようになってくると、突然物欲は無くなりますますご褒美から遠ざかっていたのですが、今度はご褒美を贈る側になっていたことに気付きました。

 

人とお話をしていて、この人は何が好きなんだろうと考える時間が好きです。

ブルーの服が多いけどブルーが好きなのかな?

でもお財布はグリーンだからグリーンが好きなのかな?

ナチュラルなメイクが多いけどリップは可愛い色をつけているから、リップメイクが好きなのかな?

など、気持ちが悪いくらい観察をしてお買い物の時にその人ピッタリの物を見つけると買わずにいられなくなり、何かと理由を付けて贈ってしまうというパターンが多いのです。お誕生日などのイベントでは無く、何でもない日の贈り物は驚かれるのと同時に喜ばれることが多く私にとってその時の無条件の「ありがとう」という言葉が今の私のご褒美になっています。

 

「ありがとう」と目を見て言われるときの嬉しさやトキメキは他の出来事に替えがたく、大げさに言えば『私の生きている存在価値』を表しているようにも思えます。


仕事を手伝ってくれて、ありがとう

話を聞いてくれて、ありがとう

電話をくれて、ありがとう

心配してくれて、ありがとう

ご飯を作ってくれて、ありがとう

元気で居てくれて、ありがとう
一緒に暮らしている主人や、実家の家族、離れて暮らす姉と妹、そして周りの大切な友達や一緒に働いてくれるスタッフに「ありがとう」と毎日伝えたいと想いながら過ごしています。そう思える環境こそが私にとってのご褒美の日々だと思っています。

 

みなさん、いつも読んで下さってありがとうございます。

この日常も、大切なご褒美です。

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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