仕事を頑張りたくなる、邦画5選
いくら好きな仕事でも嫌なことなんて山程あり、悔しくて泣くなんて事は今までにも何回もありますが、それでも仕事を続けているのは仕事を通じて知り合えた大切な人達がいたり、仲間と同じ目標を見て達成したり、クライアントやお客様の笑顔が見られたり、そんな辛さを一瞬忘れさせてくれる歓びが私を動かしているのだと思っています。
中には自分の会社を「ブラック企業だ」と言い自分のお給料分働いていないようなモンスターのような人も年齢問わず世間にはいますが、そういった人はプライベートと仕事の比重が私とは違う、と割り切るようにしています。ですが仕事はめちゃくちゃ真面目にすれば、めちゃくちゃ楽しい事も歓びもあるよ、と伝えたくなる仕事頑張ろう!と思える邦画5選です。
「WOOD JOB!」(2014)主演:染谷将太、伊藤英明、長澤まさみ 監督:矢口史靖
大学入試を失敗した高校を卒業したての都会のチャラチャラした男の子が、好みの女の子にパンフレットに一目惚れし何も知らない林業に足を踏み入れるストーリーです。矢口監督はブームにもなった男子シンクロの「ウォーターボーイズ」や高校生ビッグバンドの「スウィングガールズ」が有名で、何も知らなかった男の子や女の子が興味を持ち始め、徐々に楽しさや厳しさを見いだし奮闘していく姿が何とも可愛い魅力に溢れている映画を撮る監督ですが、この作品も最初は少しでも汗ばむと汗ふきシートを使用したり血が流れれば貧血を起こしたりと何とも情けない様子だったのが、いつの間にか自分なりに仕事の楽しみや自然との関わりに興味が出てくる表情が観ている私たちも嬉しくさせてくれるのです。最後には、最初に着ていた服が似合わなく見えるほど山の男になっているのも仕事って男性を変える素晴らしい出来事なんだと思わせてくれます。
最初は厳しかった先輩も、変わっていく後輩が可愛いと思えてくるのが画面越しにも分かり、土や泥まみれの男性達もとても格好良く、自分が生涯をかけて挑んでいる仕事を新参者が興味を示してくれているだけで嬉しくなるような、自然に関わる仕事を後継者に繋いでいく難しさと楽しさをコミカルに描いているのでとても楽しい!と思える映画です。何よりも主役の染谷将太さんの自然な演技やハチャメチャな伊藤英明さんが可愛くて何度も観てしまいます。
「ちょっと今から仕事やめてくる」(2017)主演:福士蒼汰、工藤阿須加
会社の激務により心も体も疲れ果ててしまった主人公が死にそうになっていた所を助けてくれた男性と交流を重ね、以前のような明るさを徐々に取り戻し仕事も順調に進むようになったと思いきやそう甘くはなく、自分を想う人の為に生きろという男性の言葉に動かされるストーリーです。
ものすごくシンプルな話で現代の社会においての問題点の一つでもあるブラック企業での待遇に翻弄される若い社員は、こういった思いで仕事をして辞めたくても辞められない状況そのものが胸を潰されたような悲しさが辛いです。一応お店の店長をしている私から観ると、映画の主人公はとても真面目で誠意がありますが現実には年齢関係なく、営業中に逃亡し辞める人や、退職をLINEで伝えるなどとんでもない社員もいるのでキツイ言葉で注意するとパワハラだ、ブラックだ、訴えるなど言われてしまう会社側の苦しさも分かってしまうのが複雑な気持ちになってしまいます。
ですが映画の中での企業は明らかな過剰すぎる言葉の暴力ですし、月曜の朝が来るのが怖くて眠れなくなるほど泣いてしまう会社なら、今日辞める、というのは少し問題があるかと思いますが順序を守ってきちんと辞めるのも正しい選択の一つだと思います。真面目で一生懸命な人ほど人に迷惑をかけたくなくて頑張りすぎてしまうものですが、現在の仕事を頑張ろうと思っている人も、転職して自分らしく生きられる場所を探している人も、少し疲れて休憩しようと思っている人も、明日が来るのは怖い事ではなく新しい世界が待っている事を教えてくれる予想外にいい映画でした。
そして一生懸命頑張っているスタッフにはきちんと感謝を伝え、間違ったことをしたら注意し、見守ることの出来る店長になれたら、という指導する立場でもある私自身に対する叱咤にも思えた映画です。
「あん」(2015)主演:樹木希林、永瀬正敏
桜並木の側にある小さなどら焼き屋さんで黙々と焼き続ける主人公の男性の元に、ここで働きたいという笑顔のおばあさんが現れる優しい変化と悲しい風評被害の現実を表現したストーリーです。この映画が国際的に評価されたのは〝ある視点〟という作中の風評被害の元であるハンセン病に関してのことより、70歳を超え80歳近くなっても働きたいという事が私自身静かに嬉しい衝撃でした。
自分自身どんな社会経験を積んでも自分より年上の方の気持ちが分からないので、定年を超えた方は働くという事に関してどんな気持ちでいるんだろうと思っていました。人の役に立ちたい、社会に貢献したい、という気持ちもあるかもしれませんが、何より自分の為に働きたいというのは傲慢なように見えますが、新卒の人も定年の人も、何か身体や精神に病気を抱えている人も全て〝働きたい〟と想う気持ちは平等なんだと気付かされた作品でした。企業としては色んな問題がまだある為受け入れは難しい所がありますが、きっと明るい道がみんなの足元に出来るような世界になるように、と想える静かで濃厚な映画です。
「THE有頂天ホテル」(2006)主演:役所広司 監督:三谷幸喜
様々な場所を舞台に繰り広げられるドラマを作る三谷監督の作品の中で、その場しのぎの連続が一番丁度良いこの作品は大晦日の高級ホテルで繰り広げられる沢山の問題に対応していくホテルマンとその周辺の人々のノンストップエンターテイメントの群像喜劇です。色んなありえないトラブルを対応していくホテル側は、誰も悪者にならないよう誰もが幸せになれるよう機転を利かせ奮闘し最後には様々な場所で笑顔が生まれます。主人公の副支配人は役者になりたかった夢を諦めて今の仕事に就いている訳ですが…一度夢を諦めた人は生活のため始めた仕事が天職に変わるかもしれない。ただ、それは自分のしたかった仕事とは違っても一生懸命に向き合い奮闘する事で新しいやりがいや新しい道が見えてくるのだと思います。主人公は夢だった役者ではなく、ホテルに足を運んでくれたお客様に誠心誠意を込めた接客をし、喜んで頂く。その事に歓びを見出し、自分の仕事は今のこの仕事です!と胸を張ってホテルを駆け回る主人公には夢を諦めた悲しい男性の面影は無くなっているのです。
もし、今している仕事が自分のしたかった仕事とは違っていても環境を嘆くばかりではなく、とにかくがむしゃらに頑張る。それだけで自分のしたかった事以上の何かが訪れる可能性があるという事が伝わり明日が楽しみになる、そんな映画です。
そしてそこら中に散りばめられた小ネタや、キャストに目を奪われてしまうのです!
「サマーウォーズ」(2009)監督:細田守 長編アニメーション
数学が得意な男子高校生は憧れの年上の女性の実家に誘われ、その家で大勢の親戚達と力を合わせてある〝新しい戦争〟に参加してしまう長編のアニメーションです。私自身最初は苦手な部類の作品かもしれない、と観ず嫌いをしていたのですが…
気楽な気持ちで観始め、ネット上の世界と現実の世界の混ざり方がスピーディーで分かりやすくどんどん引き込まれていきますが、途中まで内容は家族愛や友情だと思っていました。ですが親戚の中とはいえ人と人との関わりは社会の中と同じで、気の遣い方や空気の読み方、そして戦いの時のチームワークはまるで企業で大きい仕事を皆で協力しながら達成していくようにも見えてくるのです。
その中での重要人物であるお祖母さんの言葉の中で「いちばんいけないのは、お腹が空いている事と独りで居る事」というのが私自身の仕事の決まり事そのもので、考え事をする時やミーティングをする時に空腹なのは良い考えが出ないと思っていますし、物理的ではなく精神的に独りにならないようにしています。それはたとえ一人の時間が好きでも、仕事上で迷うことがあったら頼れる人に相談したり溜め込まず限られた人にだけ愚痴を言うようにして悪い方ばかり考えすぎないように精神的孤独にはならないようにしています。仕事は一人でするものではなく全てチームワークが大切で、仕事を達成した時の歓びは分かち合うほど膨らんでいく物だと思える長編アニメーションですので、アニメが苦手な方も是非観てみて下さいね。
毎日会社に通勤して歯を食いしばって頑張っている人も、大切な子どもを自分の事もおかまいなしに頑張って安全に育てている人も、かつて仕事を頑張りすぎて少し休憩している人も、全ての人にお疲れ様です!と伝えたいと思える邦画でした。
良かったら観てみて下さいね。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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