初心者にも入口が広いBGM

岩上 喜実

私のようにそこそこ音楽は好きだけどよく分からなくても、自分のお店で合わない音楽を流すのは好きじゃない人が大多数だと思いますが、様々なジャンルや年々新しいアーティストが出てきて好奇心が世間の流れに追いつかない時ってあると思います。そんな時、とりあえずここから好きな音楽を選ぼうと思って聴きだしたのがコンピレーションアルバムです。

コンピレーションアルバムというのは、カフェやラウンジ、バーやエステなどテーマに合わせた場所で流れているような曲を様々なアーティストや楽曲を集めて編集(コンパイル)したアルバムのことで、私のようにアーティストやジャンルに詳しくなくても一気に色んな曲が聴ける音楽の入り口としてはピッタリのアルバムが今は沢山出ているのです。

初心者ならではの選び方のコツと言えば、まず邪道ですが顔である大切なジャケットを見ることです。

ジャケットにはこのアルバムのイメージを集約させたものが多く、ゆったりとした優しい音楽には自然の中陽が差し込んでいたり、素敵な女性がお茶をしていたりする写真が使われ、文字のフォントも上品なものが多かったり、少し明るめで元気のある音楽にはパンケーキの写真や女の子がパーティーをしている写真でフォントも流行の書体を使っている事が多い気がします。

まずは好みの写真やフォントのアルバムをジャケ買い(ジャケ借り)をしてみて、一度まるまる聴いてみると何か好きかも、というアーティストや曲に出会うことも多いと思います。あとはクリスマスや夏のハワイアンなど、季節を感じる曲が新鮮にアレンジしているアルバムも多いのもとても面白いのです。

そんな中カフェでよく流している「Girly Café」(2012)というアルバムは、The boys town gangの「Can’t take my eyes off of you(君の瞳に恋してる)」を始め色んな世代の男女が必ず何処かで聴いたことのある曲をガーリーにアレンジし1枚を通して「かわいくて明るいカフェ」の雰囲気にしてくれます。

https://youtu.be/Cc1QzIWWIrc

※この動画は原曲です

日本人のものでは「Honey Sunday」(2012)は以前こちらでもご紹介した土岐麻子さんやミズノマリさん、横田はるなさんなどキッチュで可愛い明るさのある曲ばかりでまとまっています。ですが曲そのものはこちらも何処かで聴いたことのある曲ばかりなので、自然と耳に馴染みなぜだか心地よい空間になるのです。

他にも「BAKERY music01焼きたてパンラウンジ」(2010)は、焼きたてのパンを食べるときにピッタリの曲がまるまる1枚に詰まっていますし、みんなが大好きなディズニーは「WeLoveDisney」(2015)はアラジンの曲をNe-yoが歌っていたりと通常の馴染みのディズニーとは何だか違うけどそれがまたいい!と思えるのが気持ちが良い1枚なんです。

https://youtu.be/r21fH-ysABs

世界には山ほどの曲やアーティストがいて、その中からお気に入りを探すのは操作は簡単にはなったけれどセレクトするのが至難の業になってきているように感じます。

私のような初心者にはいつも音楽はハードルが高く、悩ましいのですがこういったプロが選ぶセレクトショップの様なコンピレーションアルバムはいつも入り口のドアを開けっ放しにしてくれるオープンなウェルカムを感じるのでこれからもお世話になっていきたいなと思っています。

さてカフェで流すBGMですが、来週で最終回です。ここまで読んで下さってありがとうございました!最終回は、私の大好きなアーティストで締めたいと思っています。

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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