細胞中が優しくなるBGM
イントロが流れ始めただけで聴いていたその頃の事を思い出したり悩んでいたことを懐かしんだりして、そういったことが出来るのも音楽のすごい力だな、と感じています。
私が今回ご紹介するアーティストを聴き始めていた頃は、書店の中に新しく雑貨屋さんを設立するという時で、ありがたいことに創立メンバーに選ばれ好きだった雑貨の仕入れや陳列などをしていましたが、それまで実績のないお店にはメーカーの反応は驚くほど冷たく、魅力的な雑貨が沢山世の中にはあるのに何故自分の所では契約してもらえないのかと思っていました。
その答えは簡単で、私自身の営業能力が低かったのとメーカーからの信頼が得られなかっただけのことでした。それに気付いた頃には、仕入れや納品作業、お客様への接客や商品説明など出来ることを確実に一つずつ丁寧に行う事で次のメーカーさんの信頼を得ようと思えるようになっていきました。
自分の知識を増やし、相手と向き合う勇気を持ち、そして仲間と目標に向かって頑張る楽しさを感じた頃によく聴いていました。
出来ることから一段ずつ確実に、そう気持ちの切り替えをしている時によく店内で流していたBGMがこのアーティストのアルバムで、今でも聴く度に仕事や人間関係は一段ずつ、丁寧に。と思う足踏みをする場所となっています。
2.naomi&goro(ナオミアンドゴロー)
ふわふわとした雲のような歌声の布施直美と、作曲家、プロデューサーとしても活躍しているボサノヴァギターリストの伊藤ゴロ−二人のデュオnaomi&goroは、ギターの弾き語りというシンプルなスタイルでボサノヴァの名曲のカバーとオリジナルを次々とリリースしています。
雑貨屋さんや個人で経営している書店、小さな洗練されたカフェでよく流れているのを聴く事が多いので、お客様の会話の邪魔にならず、大きな騒がしい曲調もなくスーッと頭の何処かに気持ちよく居続けてくれる歌声とリズムなんだと思います。
私自身最初に出会ったのは書店内の雑貨屋さんで働いて居るときに、「333DISCS
」というレーベルを発見し発注しては店内で流し販売をしていたCDの中に参加していたアーティストの中の一組でした。このレーベルは他にもtico moon(ティコムーン)など「毎日の生活に溶け込むような気持ちの良い、心に響く音楽」をコンセプトにしており、まさにその通りのアーティストがnaomi&goroなんだと思っています。
数多くのカバーアルバムやオリジナルアルバムを出されていますが、初めての方で間違いないアルバムを聴きたい方には全体的にささやき声でソフトな印象の「Passagem」(2009)、ボサノヴァの名曲をカバーし全てをnaomi&goroカラーにしている「BossaNovaSongbook1」(2008)と「BossaNovaSongbook2」(2009)をお奨めしています。
ボサノヴァは歴史も深く、詳しい方も多いので何やら簡単には手が出せないイメージになっていますが、音楽にこそ壁はなくフラットに好きと思えるものを好きな時に好きなだけ聴くのが一番なんだと思わせてくれたアーティストでもあります。
ありきたりな言葉の言い回しになってしまいますが、聴いていると日々の嫌なことや積み重ねられた小さなストレスが耳や鼻や口から知らず知らずに出てきて、毒素を出し切った私の細胞に瑞々しい花のつぼみに溜まった朝のつゆが身体に染み入ってくるような新しい日々の美しさを気付かせてくれる歌声なのです。聴き慣れたカバー曲もこの二人に演奏して貰えば、こんなにも自分は綺麗な心になれるものなのか、と毎回驚いてしまいます。
世界は美しいし、人も美しい、そう思える日が1日でもあると人は幸せではないだろうか、と思えるアーティストなんです。
曲によってはお客様がウトウト眠ってしまいそうなナンバーもあるのでセレクトには注意していますが、家で裁縫をしていたり、コトコト何かを煮ている時間や、丁寧に淹れた紅茶を飲む時間などにもピッタリくるアルバムばかりですので、宜しかったら聴いてみて下さいね。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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