空気をかっさらってくれるBGM
聴いていて何となくそのストーリーが想像できたり、舞台となるステージが頭に浮かぶ事が出来る音楽があると一人カフェで過ごしていても退屈すること無く過ごせるアーティストがいます。
それはモーニングやランチ、カフェなどのまだ日が高い明るい時間にはフィットしませんが、薄暗くなって店内でもハッキリと他の人が見えなくなってくる頃に流れると何故か少しウキウキと心が弾んで、夜の情景にフィットするアーティストなんです。
Dimie Cat(ディミーキャット)
小悪魔ディーヴァと呼ばれているフランスリヨン生まれのジャズとエレクトロスウィングの作曲家で、レーベルを立ち上げるほどの実力者ですが曲全体は重さを感じさせないそのセクシーでキッチュな声と共に流れるメロディーは実際足を運んだことがないバーレスクの雰囲気をイメージさせてくれます。そしていつも映画を観ているような気分にさせてくれ、さながらそこは夜の雑多なパリの酒場をイメージ出来、上品と下品のバランスがどの曲もちょうど良く、それでいつも聴き終わる頃には少しテンションが上がってしまうのです。
ディミーを形容する言葉が沢山ありすぎて選べないほどですが、ファンタジーで少しエロくてそれでいてキュート、そしてモダンでエレクトロな全ての言葉がしっくりくる不思議な魅力の女性なんです。イントロが流れてくるスタートから1曲のエンディングまで隙の無い世界観で、まるで魔法の絨毯で夜空を世界1周しているようです。
まずは1枚通してディミーの魅力が詰まった「ZigZag」(2012)は、どの曲もスキップしているようなメロディーですが大人っぽさもあるので夜のカフェやバルで流すのにハマると思います。大体アルバムの1曲目のイントロでそのアルバムの雰囲気が分かる、といいますがこのアルバムの1曲目の「Woody Woody」もまさにこのCD1枚を凝縮したようなイントロとメロディーで、そこでグッと引き込まれてしまったのかもしれません。コーラスがバーレスクの雰囲気を残している「AAA(tripleA)」も、タップ音が入ったディミーの代表曲と言われている「Glam!」も、スクラッチが効果的に使われているのにどこか絵本的な「Post-it」も、どれも魅力が溢れすぎて漏れている1枚です。
そしてもう1枚お勧めなのがディズニーの曲をディミーカラーに変えた「Once Upon A Dream」(2014)で、今まで色んなアーティストにカヴァーされ尽くされたディズニーのメロディーが全曲見事にキュートに、少し切なく、ただただ可愛らしいだけではないディズニーメロディーにチェンジしています。
無条件で楽しくなる「Minnie’s YooHoo」はネコの鳴き声などを発しているディミーも可愛らしいですし、アラジンの雰囲気を残しつつ全く違うミュージカルの曲にも聴こえる「Friend Like Me」や、数年前よく耳にしていた「Let it go」もメロディーはそのままなのに何だか少し違って、それがいい!というカヴァーアルバムにありがちな二番煎じではなくしっかりとした一番出汁が出ているディズニーアルバムなので、ディズニーファンも納得する1枚だと思います。
自己主張の強い曲過ぎるとBGMには向かないと思っていたのですが、思いがけず出会ったこのアーティストはとても良い意味で場の空気をガラリと変えてくれ、一気にそのカラー一色に染めてくれるのがまるで頼りがいのあるスタッフが一人加入したような心強さがあるのを感じました。
場の空気を読みすぎることより、全部かっさらうほどのインパクトがあると楽しい曲が流れるお店=自分のお店と印象づけることが出来るのがBGM選びの苦しさと楽しさの象徴だと感じています。
よかったら、是非聴いてみて下さいね。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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