⑤子どもがいる事も、いない事も当たり前
結婚して5年経ち、それこそ40歳にもなると交流の浅い方とお話をしていて自然に「お子さんは何歳ですか?」と聞かれますが、私と主人の間には子どもがいません。その理由は昨年乳がんが発症し、治療のため女性ホルモンを止めておかなければならないホルモン療法中のため妊娠することが出来ないからなのですが、発症する前は仕事ばかりしていて子どもが欲しいと思った時には世間で言う高齢出産にもなる歳に差しかかった時の出来事だったので主人と諦める選択をし、二人での生活での将来像を思い描くことになりました。
そしてその選択をした事を深く深く考えると、子どもが欲しかったけど叶うことの出来なかった事よりその事を自分なりに消化出来ている現実に感謝しながら世の女性は何て自分に甘く、そして幸せに出来ているのだろうと思ったのです。
それは何故かというと、子どもがいる人は子どもがいてこその幸せを色々な形で伝えてくれます。自分の子どもの可愛いところや面白いところ、成長や悩みなど私から見ると全てがキラキラと輝いていて母親になった人達が眩しく感じるのですが『子どもがいる素晴らしさは出産したことがある人にしか分からない』のと同じくらい、私のような『子どもがいない人生を選択した人にしか分からない』事がある、という事なんです。
こういった事を声を大にして発言してしまうと、悲しいですが特に同性から負け惜しみと判断されることが多く中々発言できない状況ではありますが、純粋に感じていることを伝えたいと思っています。
ひとつは自分の子どもがいないからこそ、どの子も平等に可愛いという事。友人の子どもやスタッフの子ども、お客様の子どもや街で出会う子どもは全て平等に可愛く感じる事ができるのです。もし自分に子どもがいたらそんな気持ちにはなっていないと思いますし、私は負けず嫌いな所があるのでもしかしたら他の子どもと比べて嫌な感情になる事もなきにしもあらずだと思っています。その事に気付いたときは、何だか救われたような気がして心底嬉しく思いました。全ての子が可愛い、それは子どもがいる人には分からない感覚だと思います。
もうひとつは子どもには私は選ばれなかったけれど、子育てに費やすであろう時間とお金と意欲を他の事に費やせる、という事。それは仕事が好きな私にとっては大切な事で、イラストもカフェの経営も教室も全て全力で取り組め子どもの体調や学校の行事などの心配をしなくて良いという事で、一緒に働いているスタッフの中で子育て真っ最中の方がいれば突然の子どもの熱や行事が沢山あり、快く代わることが出来るのです。他の人の産休や育休、子どもの為の休暇は取って当然の権利で、それを当然だと思わず仕事で返したいと思って頑張ってくれるお母さんスタッフと一緒に働いているからそのような気持ちになったのです。だとしたら子どものいない私は、代われるシフトは快く代わりその人の分も無償で頑張る事が役目であり役割だと思っています。それについては不公平だと思ったことはなく、イラストレーターとしての私がイラストを描き続け努力を重ねる事と、カフェ経営を地道に毎日を紡いでいく事と、なんら変わりがないという事なんです。
愛する矛先が子どもだろうが仕事だろうが、家庭だろうが趣味だろうが地道に苦しく楽しく紡いでいく事に恥ずべき事は何一つない、という事を心に刻んで生きているのです。
出産は女の一番の幸せだとしたら、出産をしない女は一番の幸せは味わえないという事なのでしょうか?その言葉を出産経験者が作った言葉だとしたら、出産をしない、できない女性として一番の幸せは掴めないのかもしれません。ですが毎日笑顔で愛する主人と美味しい物を食べ、仕事を全力で頑張る事が出来る、という幸せを掴む事が出来ています。一番ではなくても、二番目の、三番目の、それ以下も全部掴めているのならそれは私は幸せだと思っているのです。ですので近い友人が妊娠したから欲しくなった、仕事も続けるの大変だしとにかく子どもを作っておくか、そんな気持ちで大切な一人の命を授かり産んだ人の先を考えると何とも言えない小骨が喉に挟まったままのような気持ちになるのです。そして、そんな人ほど産まない、産めない人のことを叩く傾向もあるのがとても悲しいのです。
子どもを持たないあなたに分かるわけがないと言われることもありますが、正直全部分かりません。分からなくて当然ですが、主人と二人で一生を共にしていく私の気持ちも分からないと思いますし、その事を反論の一つにはしたくないと思っています。
皆他の人の思いや深い考えなど全部分かるわけはないのですから、そんな一つの角度だけを見て言葉を発する程度の女性になりたくはないなと自分で願っているのです。だって、私は出来る限り人を傷つけたくないと思っている偽善者なのですから。悪ぶって人を傷つける位なら偽善者として生きていく方がとても楽なんですよ。
結局は母親になったかならないかではなく、その人個人の性格が付き合うには重要だと思いますし子どもがいる事も当然、いない事も当然、全てにおいて裏も表もあって当然、という考えにいきついた時、私はとても楽に息をして生きていると思ったのです。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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