⑩苦手なものが一緒の友人という財産
どうしても空気感が合わない人がいたり何となく苦手な人が生活圏内にいたりする事はとても生活がしづらく悲しいのですが、それでも生活の中で人と関わることを避けるのは難しい事です。無理矢理前向きに捉えようとするからこそ得られるものも多く充実した生活になるのだろうなと言うこと頭では分かるのですが、学生の話ならまだしも社会人ともなれば自分だけの嫌な思いだけで通すことは難しく、家族や会社をひっくるめて人間関係を考えなければならない中で苦手な人を避ける事も困難で、出来るだけ波風を立てないように過ごす方が多いと思います。
だからこそ私生活の中だけでも自分らしくいたいと思い牽制をとりつつ友人関係を厳選してしまいがちですが、その厳選の仕方を間違えてしまうと会社などの仕事場よりも楽しいはずの友人関係があっという間に苦痛を感じる空間になってしまう事になるのです。
その中で何か人間関係を円滑にするための長く付き合っていきたいと思える人を見つけるための『目印』のようなものを探すようになっていったのです。
それは異性間の事でも同じですが、自分の好きな(楽しい)事と苦手(嫌い)な事を自分自身で把握しているかどうかが大きな鍵になってくるのですが、その中で好きな事がハッキリしている人は多いと思います。甘い物が好き、お肉が好き、お酒が好き、キャンプが好き、休日はみんなで笑い合うのが好き、スケジュールに空白がないのが好き、「かわいい」って言われるのが好き、など物理的なものから心の中のものまで好きな事やものはどこか自分の気持ちを明るくしてくれ、ワクワク笑顔が増えてしまい、この好きなものが一緒の人といると好きが倍増してもっと楽しくなる状況が目に浮かんできます。
ですがその真逆である嫌いな事や苦手な事をハッキリしてみるとどうでしょうか。
スパイスの効き過ぎる食べ物が苦手、アウトドアイベントが苦手、それを押しつけてくる人も苦手、休日は人と会うのが苦手、スケジュールには月に数日でも空白がないと辛い、お金の使い方が豪快すぎる人が苦手、かといって1円単位でタイミング悪く請求してくる人も苦手、自分だけの時間にずかずかと入り込んでくる人が苦手、話題泥棒するくせに面白くないオチにする人が苦手…などされて嫌な思いをする事をかなり細かく自分の中で整理してみると自分の中で何故かイラッとしてしまった事が明確に、そして詳細に分かることが出来るのです。
好き嫌いの分別が出来ると途端に好きなことが一緒の人より、苦手なことが一緒の人と一緒にいるのがとてつもなく心地よい事に気付いたのです。異性は勿論同性の大人になってからの友達作りにはこの仕分けが意外と大切で、好きな事が一緒だと知り合ったその日だけや1日だけなら何とか切り抜けることが出来るのですが、知らず何度も会っていたり関係が深くなってくると自分でも気付かないくらいの速度で醜悪なストレスに蝕まれていき「あんないい人で趣味も合うのに、何故私はあの人と会う約束をして、会う前から憂鬱で仕方ないのだろう」という後悔で悲しくなってしまうのです。
ですが苦手なものが一緒な人だと、最高のテンションとコンディションの自分を準備しておかなくても最低限のテンションとコンディションの自分でも大丈夫、という頑張りすぎなくてもいい自分でいられるので会うのが憂鬱なんてことも全くなく、実際会って話し始めても特に面白いネタを準備しておかなくてもそのままの自分で受け入れてくれるというノンストレスの対話が出来ている気がするのです。
好きな事をしてあげる事より、その人がしてほしくない事をしない、という単純ですが明確な人間関係のルールを自分で作ることにより学生や20代、30代前半の頃よりはるかに人間関係がスムーズにストレス少なく過ごしているような気がします。
冗談でも「死ね」や「バカ」などの言葉を嫌う人には冗談でもノリでもその言葉は言わないという事だったり、外でのイベントにあまり興味がなかったり人で混雑するところが苦手な人にはそういった場所に極力誘わない、という事だったりお金の使い方の価値観であったりとても小さな事ですがそういった苦手分野をあえて克服するような関係ではなく、苦手な事を汲み取り相手も自分も無理なくいられる関係を保てる人と良い距離感の友人関係でいられたら、とても気持ちの良い大人の友達関係になれるような気がしています。
恋人を作るより生涯の友人を作る方が難しい、と言われている大人の女性の人間関係ですがそれは物心ついた時から10代20代30代と周囲の同性からマウンティングされ続け戦い続けてきた女性が、やっと自我で自分の心地良いと思える友人を見つける年頃になったのだと思っています。
私には昔からの友人も、大人になってからの友人もいてふとした時に連絡をとってみたり会ってご飯を食べてくだらない話や深刻な話をしていると、かつての恋人や主人からは得られないホクホクとした気持ちになる時があるのです。
仕事場では周りが年下ばかりになり、どこか気を張ってばかりいますが損得関係なくいられる友人と会っている時は他では得がたい財産を得ているような気持ちになるのです。
その友人達にはお互い今以上に歳を重ねても下らない話で盛り上がっていたい、と思えるのもきっと財産の一つなんですよね。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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