本を出すこと、続けて出すこと。

岩上 喜実

本を出すということは、今は色々な形があって20年前に比べるとかなり出しやすい状況ではあるのですが、それと同時に書店自体が無くなってくる時代でもありました。まず本のことを知りたければ書店で働かなきゃと思い市内で一番大きくて好きな品揃えの書店に入社しました。書店での仕事は本当に毎日楽しくて、今のカフェをしていなかったらまだずっと働いていたと思います。

作家が書き、出版社が整え、卸に繋ぎ、書店からお客様の手元に届く最終着地点に関わっていると思うと書店のレジが恐ろしく輝いて見えました。どんな方が、どんな本を欲しがっていて、どんな出版社があり、どんな書店が全国にあるかを通常の仕事をしながら勉強をしていました。自費出版や出版社によっての対応の違いや書店側が思っていることや並べてくれること、それらをふまえて「いかに私のイラストを面白く扱ってくれるか」を基準に出版社を選び、前回お話しした賞に応募しました。

※わたしの仕事道具、戦友です。

よく「どうやったら本がだせますか?」と聞かれますが、1冊出すのはどんな方法でも出版は可能だと思います。その次の2冊目が出せるかどうかが私にとっては重要だったので、本を出したい方は自分の方向と出版社の相性が重要だと思っています。

 

そして何故2冊目以降が大事だったのかというと、細くても続ける作家になりたかったのです。1冊だけになると、書店側は毎日入荷する沢山の書籍を棚に入れ、1冊しか無い書籍は返品される可能性が高いからです。2冊以上出版していると、新刊がでたら以前出版した書籍も発注され並列してくれる事が多いのです。すると重版になり、より多くの方に手にとってもらえる機会が増える。売れると次の企画が来る、という「続ける」ことが出来るのです。

今はおかげさまで海外出版もすることができ、合計29冊になりました。人の縁もありますが、その縁を強化するための努力は必ず必要だと思っています。

その、私なりの縁の強化とは。

それはまた、次回に。

 

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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