人肌恋しくなる季節の序章

岩上 喜実

秋風が心地よく吹いていると、夏には感じなかった感情が動いているのが肌で感じるようになって少し寂しくなる感じがとてもよく分かり、あぁ、これが人肌恋しくなる季節の序章なんだなと思うとこの秋風も愛おしくなってくるような、そんな気がします。

そんな時に休日や秋の夜長に一気観したくなるようなコメディ要素が入った面白くて好きな人に会いたくなる恋愛ドラマがあります。

恋愛ドラマだけだと少し熱量がありすぎて観るのに疲れてしまう、という方は少しコメディが入っている方が観やすかったりしますよね。

「デート~恋とはどんなものかしら~」(2015)

結婚できない女性と、自称高等遊民のニートの男性との不器用で少し違った方向に向かっているけれどそれをスピード感溢れるコメディに近いラブストーリーに仕上げています。脚本が「鈴木先生」や「リーガル・ハイ」と担当している作家なのでただのラブコメディではないだろうな、と思って観始め最終回まで止まらなくなった観る側を飽きさせない演出と要所にある大人の不器用さと理系女子と文系男子のぶつかりあいが観ていてほほえましい恋愛ドラマでした。

「結婚できない男」(2006)

一流建築家で高級マンションに住むルックスも良いのに偏屈で卑屈な性格と結婚願望の無さから孤独を好み、独身生活を謳歌している40歳の男性と、同じく独身の女性との恋愛に発展するのかしないのかを描いたラブコメディです。学生の頃や20代の時のように人と関わるのが少し怖くなってしまい自分の世界が出来てしまい恋愛にも人間関係にも臆病になってしまいがちですが、恋愛感情の他にも人と人との繋がりの大切さをコメディながらも感じさせてくれる恋愛ドラマです。

「リッチマン、プアウーマン」(2012)

新しいクールでドラマを観るときに、何故か気になる俳優や女優がいてこの人が主演なら観てみようと思う人が私の中では存在するのですが、その一人が小栗旬さんです。顔が好きなわけでもないのに主演されたドラマの「信長協奏曲」や「BORDER」など他のドラマも必ず観てしまう何故だか分からないけどプライベートはどうあれ〝観てしまう俳優〟の一人です。

このドラマではIT企業を設立し成功を収めているが人間的に欠落したところがある社長役で、就活に苦労している女子大生と生活も価値観も違うなか互いが成長していくラブストーリーです。仕事とは成功を収めていると思った瞬間が落ちる瞬間で、その落ちる瞬間を一緒に戦える仲間だったり大切な人がいれば、それは成長の過程に過ぎないのだと思えました。

「最高の離婚」(2013)

恋愛の先にあった結婚をして、何かが違って離婚するという重くなりがちな離婚ドラマをサラッと重くなりすぎず身近にいそうでついつい観てしまうドラマでした。性格の違いから噛み合わない結婚生活をおくる大雑把な妻と理屈っぽくて神経質な夫と、偶然近所に住んでいた昔の彼女とその夫の〝結婚〟と〝離婚〟をテーマにコメディ要素も多いラブストーリーです。

脚本は「東京ラブストーリー」や「Mother」「それでも、生きてゆく」の作家で、「最高の離婚」はキャストのすばらしさもありますが、脚本の少し重たい中にもクスッとしてしまう空気感を楽しめるドラマです。恋愛が上手くいってお互いが大切な存在になって結婚するはずなのに、なぜ離婚をするのか。それは二人にしか分からない言葉に出来ない何かがある、という事が伝わる気がしました。

秋の夜長、とはよく言ったもので中々眠れない夜に甘いお菓子と温かい飲み物で恋愛ドラマを観てみませんか?

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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