自分だけの永遠に愛せる雑貨②置物雑貨

岩上 喜実

有っても無くてもいい存在の置物雑貨ですが、側にあるとホッとする存在が家にあるというだけで仕事で疲れて帰ってきても、少し家事に疲れても、見ていると「ふふっ」と自然に口角が上がってしまう。そんな置物ってすてきだなと思います。

今の家のインテリアは私が好き勝手に配置しているので、置物も私が本当に気に入った物を好きな所へ配置しています。


10以上前に出会ったスウェーデンの陶芸家でありデザイナーの『インガ・リサ・ラーソンの置物』は世界中にファンが多く、雑貨屋勤務時代は女性だけでなく男性の購入も多かった記憶があります。動物の置物は眼が全てだと思いますが、リサ・ラーソンの動物達はとても穏やかな眼をしているように感じ、じっと見ていても責められるような冷たい視線が無いのです。それが世界中でずっと愛されコレクターも多い理由なのかな、とも思います。

置物はライオンや胴が長い猫が有名ですが、写真の動物たちの猫のMIA、ブラウンのブルドック、ブルテリアの3つは特に私好みの顔立ちが微笑ましく、色々引越をしても必ず家のお気に入りポジションに置いてきました。

10年経った今でも、ふと目が合うと口角が上がってしまいます。きっとこれからもずっと側に置いておきたい置物雑貨なんだなと思います。


たまにクルッと後ろを向けて、とても愛らしいおしりを楽しむのもおすすめです。北欧雑貨好きの方や、40代以上の男性への贈り物にも喜ばれると思います。

 

そして同じ置物で好きなのは群馬県の『卯三郎こけし』です。

創業者の岡本卯三郎氏が昭和54年に工房を新設し、海外からの需要に応えるよう現在も初代の薫陶を受けた作家さんが作り続けているこけしです。おかっぱのこけしも勿論色んなデザインがありますが、ディック・ブルーナのミッフィーや藤子・F・不二雄のドラミちゃんなどアニメや絵本、映画のこけしも沢山あるのです。見た目の可愛さもありますが手に取ってみると分かる丁寧に作られた温かみがあり、歳を重ねておばあさんになってもずっと好きでいる自信がある置物です。とても仕事が出来る真面目な男性の本棚にこの置物があると、意外性の可愛さに女性はドキッとしてしまうと思います。

 

最後はついつい見たら買ってしまう『ミニチュアのパン』です。

今は沢山のミニチュア作家さんがおられて、SNSやお買い物サイトで眺めているのですが10年以上前はまだそんなに浸透していなかった為お店に並ぶ事自体が珍しく、私自身も雑貨の展示会で出会ったのが始まりでした。

指でつまめる食べられないパンがこんなに魅力的なのは何故か分からないのですが、並べて眺めていると「可愛いなぁ」とホッとする自分がいます。玩具売り場のシルバニアファミリーの小物のパンも買おうか迷っている程なのです。

 

置物の魅力はその人が分かるアイテムだから、と私は思っています。

仕事がすごく出来る女性のデスクに可愛い置物が一つあるだけで、何故かもっとこの人を知りたいと思いますし、雑貨など興味なさそうな男性の車のドリンクホルダーに、ポンと素敵な置物があると色々聞いてみたいなと思ってしまいます。

置物雑貨って、役に立たないように見えて疲れた自分の口角を自然に上げてくれる高機能エネルギーチャージドリンクの様な存在だと思っています。

 

先ほど少し出てきた雑貨の展示会ですが、ただの新作発表会だと思っていたので雑貨屋の仕入れにはとても欠かせないものとは担当するまで知らない存在でした。

年に数回ある沢山の企業がまとめて大きい会場で行う展示会や、自社のホールで行う展示会など方法は様々ですが、この展示会で実際の物を手で触りながら質感を確かめたり、裏話や作り手の想いを担当の方に聞いたりと、電話やカタログだけのやりとりでは分からない大切な仕入れ業務の一つでした。そこから口答で発注をしたり、持ち帰って期日まで検討します。

しかしそれはすぐ入荷する物ではなく、何ヶ月も先の季節をイメージし考えながら仕入れをするので、興奮気味で「これは売れるぞ!」と思いながら発注をしても数ヶ月後の入荷した時に「これは…このお店で売れるのか…?」と仕入れをした本人が戸惑うことも多かったのが本音です。その仕入れと入荷のバランス、お客様へのアプローチ方法が頭の中で出来ているかが一番雑貨屋で苦労し楽しんできたことかもしれません。

それを思い出すと、どの雑貨屋さんに足を運んでも「皆さんすごいなぁ」と秘かに感動しながら沢山買ってしまうのです。

 

ではまた、日曜日に。

 

 

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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