色濃く見えてきた大切な事
今思えば、私は何て欲張りな気持ちで生活してきたんだろうと恥ずかしくなります。
夢だったイラストで仕事が成り立ち、カフェも作り、周りの友人にも恵まれ、信頼できる主人もいる。その上健康だったのに「もっと痩せたい」や「もっと楽しいことがしたい」と欲しい物ばかりを考えていたので無駄に視野が広かったのだと思います。がんが分かり治療法を考えていた時は病気になった自分が恥ずかしくて、同情されたくないという勝手な思い込みで自分を追い込んでいたのだと思います。それは自分が作り上げた固定概念に押しつぶされていただけで、とても格好付けていたのだと気付かせてくれたのが主人でした。「いつも一緒だから」と今の私との未来を楽しそうに話してくれる姿や、不安だった感情を先回りして守ってくれていた事に気付き、恥ずかしかった気持ちに恥ずかしくなったのです。病気は怖いですが、大切な事を色濃くしてくれたキッカケだったのかもしれません。
今現在行っている治療は放射線治療を終え、ホルモン剤療法です。
女性ホルモンの動きを抑える注射を月に1回し、毎日の飲み薬が1錠だけなので生活への負担は想像以上に少なく、薬が慣れた頃には手術後の傷口の違和感も無くなり家事はもちろん、イラストを描いたりカフェの指導に入れるようになっていましたが、勿論薬なので効いているということは以前と違う事も副作用として出てきています。
まず女性ホルモンを抑えるという事は閉経したと同じ事になり、更年期のような症状が出てきます。様々な症状がありますが、私自身は動悸、のぼせ、微熱、頭痛、発汗が主な症状になり、いつ熱が出ても良いように冷えピタを持ち歩き、汗が沢山出るのでタオルハンカチを2枚常備するようになりました。あとは以前からメイクはあまりしない方でしたが、汗止めの下地と日焼け止めの下地、テカるようなら透明のパウダーで抑え眉毛を描くだけになり、他には体温調整が鈍くなるので軽く羽織る物、気分が落ち着く香りのハンドクリームを持ち歩いています。これは一気にのぼせが首から頭のてっぺんにのぼっていく時に落ち着くように香りでごまかしているのです。ハンドクリームが塗れない環境にいる時は、深い深呼吸をし少し上を向きドキドキした心臓の胸に手を当てると静かに落ち着いてくるのでよくこの動作をしています。
同世代の友人達より少し早く更年期を味わうことになりましたが、これでなにか対処法が見つかれば友人が更年期に困っていた時に相談にのれるかもしれない、と先取り実験の気分で取り組むようにして少し楽しんでいる所があります。あとはのぼせが始まったら、周りの人に「いまのぼせが来ている」と伝えるようにしています。意味も無くイライラするのは自分自身も後で落ち込んでしまうので、なるべく軽めに状況と自分の不審な動きを気にしないように伝え自分にプレッシャーを与えないのも気持ちが楽になる方法の一つでした。
集中力が以前より長く持たなくなり咄嗟の一言が瞬時に出なくなることもありますが、予定を詰め込みすぎず少しだけ前よりペースダウンして仕事をしようと決めてからは気持ちのギアチェンジが上手にできるようになりました。それも周りの人に感謝ばかりで、その他の面で何か役に立てたらと以前より角度を変えて物事を見られるようになってきたのも自分の中で新しい発見でした。
これが私のがん発覚から手術、治療と現在の状況です。注射は1回約12,000円、錠剤は1ヶ月分で約2,000円でした。
こんなに前向きに取り組めたのは主人や周りの人のおかげがほとんどですが、集中して治療が行えたのは20代からかけていた保険と、その保険を毎年のように私の生活環境の変化や保険の内容変化でより良い保険を考え手続きをしてくれた女性のおかげなのです。
何も無いのが一番ですが、何かあった時の為に貯金だけでは無い蓄えがあったら安心だろうと思ってかけていましたが、その女性の気遣いや私がいかに負担にならないように考えてくれた事が嬉しく、そして治療代などの支出も何も不安無く出来たことが集中して治療ができた要因だと思います。実際に手術が出来たり治療をするのは病院の先生ですが、私にとってはその女性も私をお金の不安を治療してくれた一人だと思っています。
おかげで生活には金銭面では主人に負担をかけることなく、不安の一つはその女性のおかげで無くなった事をとても感謝しています。
がんは、私に一体何を教えたかったのだろうと考えます。それを、次回の最終回に記していこうと思います。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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