⑫自分の事は自分で切り替える

岩上 喜実

気持ちをより自分の思う正しい道へ向かせるために、遠回りをしたり後ろ向きな考えを持つのはネガティブなものとして捉えている人はとても多いのです。

そのため色んな場面で仕事の事や人間関係そして恋愛のことなどの悩みを相談されると、より良くなるようなポジティブで明るい意見を言わなくてはならないような気持ちに以前はなっていたのですが、今は遠回りをする事も後ろ向きになる事も、何か確固たる守りたい気持ちが自分自身で把握していれば悪いことではないという事に辿り着いたような気がしています。

そうやって全てのことを表だけ知って楽しい気持ちになる事より、裏の部分もよく知り、学び、落とし込むことができた時自分に対してはもちろん、他人の事に対しても深く様々な事を知ることが出来るような気がしています。12つ目の気持ちの切りかえスイッチは「自分を把握し、他の人をよく知る」というスイッチです。

 

なぜ自分や他の人を知ることが切り替えになるのか、というのはとても不思議かもしれませんが、例えば1日まるまるお休みの時、今の自分が一番喜ぶことを最優先に出来たら気持ちはきれいに切り替わることが出来、次の日の家事や仕事が頑張れるというものなのです。その最優先に思っていることが、自分の事なのに自分では分からない場合、なんとも的外れなリフレッシュ方法をしてしまい疲労は溜まっていってしまうものなのです。

友人と外でバーベキューをしながらお酒を飲むことがいかに楽しくても、自分の底の方を見てみると本当は「外で遊ぶ」のが苦手かもしれませんし、実は「知らない人がいる場所」も「お酒を飲み過ぎてしまう」ことも苦手かもしれません。本当は静かな場所が好きだったり、人となるべく会わないようにする方が心が解き放たれたり、記憶がふにゃふにゃになるお酒を飲むことより、お気に入りのハーブティーをゆっくり淹れる方が好きだったり…など自分の好きな事と苦手な事の様々な事を細かく把握することにより、ナチュラルに自分の本当にしたいこと、というのが見えてくるのだと思うのです。

身体や気持ちの余裕のある時は何にチャレンジしてもいいと思えるのですが、必然的にほんの一握りの時間しかとれない場合は、自分の為に自分を大切にするのがいいのだと思います。

そしてそれと同じく大切にしておきたいのは、家族や周りの人のことをよく知ること。なにも積極的に何か話しなさい、という訳では無くその人達が何に関心があり、毎日何をしていて、そして何をされるのが嫌なのか、を知ろうとする真っ直ぐな思いがとても大切なような気がします。相手が疲れている時にさらに疲れさせる事のないように、話を聞いて欲しい時なのか、放っておいてほしい時なのか、励まして欲しいのか、渇を入れて欲しいのか、してほしい対応が出来る事によって他人を大切にし、自分を大切にすることに繋がるのだと思います。

 

誰にでも平等な1日の時間は、自分の気持ちと行いでいかようにもなるものだと思っています。ずっと怒っていたり、ずっと落ち込んでしまったり、しょうがない場合はあれどずっとそれを引きずっていくことにより時間はどんどんとスピードを上げ知らない間に自分だけせわしなくなってしまうものなのです。

無限ではない1日の時間を少しでも穏やかに、そして笑顔で過ごすことが出来るように誰よりも自分の事は自分で気持ちの切り替えが出来るようになれたら、それは人生の大きな味方なのだと思うのです。

 

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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