②欲をふくふくと満たす

岩上 喜実

色々な欲求で形成されている私たち人間は好きなものを食べたり、大切な人と抱きしめ合ったり、欲しいと思ったものを購入したりして心をふくふくと満たされていくのを気持ちのエネルギーに換えていくのが動く活力になったりするのだと思います。

ですがその欲求を叶える為には好きなものを食べる為の健康な身体が必要ですし、心が通じ合った大切な人の存在も必要ですし、欲しいものを購入する多少の財力が必要になってくるものなので備わっていないと欲求が叶えられず、食欲性欲物欲の欲求不満になるのだと思うのです。

私自身は何故だか有り難いことに周りの人に恵まれていた為か小さい頃から欲求願望が少なかったような気がするので、周りの同級生が持っているような流行り物を持たなくてはならないという気持ちにはなりませんでしたし、そのまま成長していった今ではSNS等での承認欲求もそんなに高くはないので『どうしても欲しいと求める』気持ちが分からなかったのです。

ですが仕事が立て込んできた時の要領の悪い私は、中々スケジュール通りに運ばないと自分の判断能力や持っている技術の低さに落ち込んでしまい、その隙間を埋めるように何かを求めている気持ちが分かるようになってきたのです。

そうして分かった気持ちの切り替えスイッチ二つ目は『欲を満たす』という事。

欲を満たす、というと何だか大がかりなような気もしますが不思議なもので金額にかかわらず『きちんと自分の目で見て、探して、お財布から出す』という行為がとても大切なポイントになっているのです。

ネットの方が場所を選ばず便利ですし詳細を見ることも可能になっているので、わざわざ店舗に行かなくてもいいのでは?と思うのですが、実際に見に行く『時間』と探す『手間』、そして自分のお財布からカードやお金を出して払う『行為』を自分の中に落とし込む事で欲が少しずつ満たされていくのが分かるのです。

それが髪や爪や肌をキレイにする為の好きなコスメをデパートやドラッグストアで購入することや、今すぐ必要でなくても仕事をしたくなる気持ちになるモチベーションが上がる文具を大きい文具専門店に見に行ったり、知識になってもならなくてもただ好きな本を探したい為に書店に行くこと。それか友達や恋人と会う時に気に入った靴で会いたいと思う為の靴を靴屋さんに見に行ったり、今夜の夕食をいつもより時間をかけて家族の好きな物を作りたい為にスーパーに行ったりと人によっては様々な気持ちで様々なお店に向かい、購入してもしなくてもその行為自体が欲を満たすことになっているのだと思っています。

それが高級なお店でも、安売りのスーパーでも100円ショップでも、お財布の中のお金が無くなる額は違いますが自分が求めて購入した事や、求めてなかったけれど出会ってしまい購入するに至った事は自分の中の満足度に繋がりとても、ふくふくとした気持ちになるのだと思います。

それが好きなものを食べる行為でも、大切な人と抱きしめ合う事でも、幸福感は人をうまく切り返らせることの出来るスイッチの一つだと思います。

その原理でいけば愛しい人とのお出かけで好きな食べ物を食べ、好きな物を見ながら手を繋いで歩くというだけで女性は幸福スイッチが入るという事を女性で悩む男性に伝えたくなってしまうのでした。

岩上 喜実
イラストレーター、イラストエッセイスト
18歳から書籍挿絵、企業キャラクター、CMイラストを描く山陰在住イラストレーター兼イラストエッセイスト。挿絵書籍と自身が描くイラストエッセイを合わせて、文庫化と海外出版含めて2005年から現在で29冊刊行。
2011年から始めた「ゆるイラスト教室」と同年プロデュースと店長をしている「Non café(米子市)」とイラストレーターを毎日のほほんと楽しみながら奮闘しています。
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